日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (001)

Q:

最近はインターネットの普及で音響,音楽の分野でもたくさん通信ネットワークを利用するようになり,それに伴って著作権を有する音楽ソースがネットワ ーク上を行き来することが多くなってきているように思いますが,音楽作品の著作権というのはどのようになっているのですか。

A:

音楽の著作権は今現在も進行形で様々な問題をかかえており,それらを解決することは非常に重要なことです。ここでは権利の伴う音楽を広く普及させるためにはどういうことが必要であるかということについて例を挙げて述べたいと思います。
  現在まで著作権を守るためには,オリジナルからのコピーの制限をしたり,海賊版の規制をするために例えばCDーR等のハードウェア側に制限を加えるような方法を用いています。しかし,このような“作品の使用を制限””という方向から,“きちんとフェアに著作権料を支払って作品を使用する””という方向を模索した実証実験を行いました。これはSound Jamシステムといって,インターネットと蓄積形メディア,いわゆるCDを融合することによる新音楽流通システムです。そこには基本技術として,暗号鍵,少額インターネット決済システム,販売集計サーバシステム,音声圧縮技術というものがあります。
  具体的にどんなシステムかというと,この実験を行う固体をSound Jamといい,ここが取り仕切りを行い,コンテンツの供給元であるレコード会社からの協力を得て,このCDをレコード店で販売します。このCDというのがちょっとくせ者で,例えば,ここに1枚に10曲ずつ納められたCDが5枚あるとして,それぞれから1曲だけを取り出し1枚のCDを作成します。そして残りの部分に5枚のCDの残り45曲を,圧縮して鍵をかけて暗号化して入れて販売します。つまり初めの5曲は普通にCDで聴取できます。残りの45曲は暗号鍵がないと聞くことはできませんが,代わりにそれらはPC上で少しだけは聞けるようにしておいて,もし気に入った曲があれば付加料金を払って自分のものにする。これは具体的には暗号鍵が自分のハードウェアに届くことであり,自分のハードウェアでかける限りは自分のものとなるということです。 これは今話題の EC(Electronic Commerce)を取り入れたシステムで,付加料金を支払う方法としては,プリペイドカードを購入し,そこに記載されている文字列をインターネット上に入力すると,サーバ上に自分の財布ができ,1曲ごとの代金がその財布からその都度引き出されていきます。また,電話料金と一緒に情報料を徴収するというシステムも併せて使用されました。
  今や音楽資産というものはものすごくたくさんあり,実際にすべてを販売店に並べることができなくなりました。その中には多くの人が欲しがる少数の作品と,1部の人しか欲しがらない大多数の売りにくい作品とがあり,ここで問題はその売りにくい大多数の作品をどうやって流通のコストを下げてサービスするかがポイントになります。ここで先ほどのシステムを使う。1つの形態としてパッケージメディアには圧縮してたくさんの作品を入れてしまう。DVD となれば1枚には500〜1,000曲は入ります。しかしここで著作権印税を1曲10円ずつ払うと,1枚1,000曲入れればこれだけで10,000円になってしまいます。ところが,作品が暗号化されていれば,それはまだ“半著作物”であり,完全な著作物ではないので,権利料の1部のみ払えばすみます。 残りを決済時に払う。こうなると流通が格段に広がると共にその情報はマーケティング等にも十分活用できる。ディジタル時代において暗号化は大変容易であり,更に「ある作品が暗号化された時点ではまだ完全な著作物ではない」という考えに基づいて,その暗号化された作品を復号する暗号鍵の管理を作品の権利者が行えば,コピー管理も含めた著作権管理がスムーズに行えるシステムとなり得る,ということで今後の事業化へ向けて検討中です。

穴澤 健明(日本コロムビア(株))