日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (100)

Q:

騒音の周波数特性の測定法に,FFT,1/1,1/3オクターブ分析などがありますが,どのように使い分ければよいのですか?

A:

騒音が環境基準に適合しているかなどを評価する場合,オーバオールの数値で評価が行われます。このとき,特に周波数特性の測定は要求されない場合も多いのですが,騒音を更に下げる必要がある場合などに,周波数特性の測定が有効です。測定には,FFT,1/1,1/3オクターブ分析などの手法が使われますが,これらの違いは,騒音を幾つかの周波数に分けるときの分割方法にあります。まず,1/3オクターブや1/1オクターブ分析は,人間が二つの周波数を比較するときに,周波数の比(比が1:2のとき1オクターブという)を基準としていることに由来しています。1/1と1/3オクターブはそれぞれ1オクターブを一つ又は三つに分けた測定方法です。オクターブの分析は,主として騒音の中で対策を必要とする周波数帯域を決めるために使用されます。更にFFTでの分析は,狭帯域分析とも言われ,騒音発生の原因を調べるための詳細な分析に使用されます。例えば,「回転機械などで,回転数の何倍に比例した騒音が出ているか調査する。」「ピーク周波数が何Hzかを調査し,共鳴部位を特定する。」などに利用されます。従って,十分音源の特性が分かっている製品の騒音を評価する場合では,オクターブ分析で十分な場合が多く,むしろデータ量の多いFFT分析は,データ間の比較を困難とする場合もあります。
 なお,FFT,1/3,1/1オクターブ分析では,例えば同じ1kHzに対応する騒音レベルの数値が異なることに注意が必要です。特に1/1と1/3オクターブで,データを取り違えるミスが散見されます。本来1/3オクターブは1オクターブを三つに分割したわけですから,一般的には,1/1オクターブに比べ5dB程度小さな値となります。筆者も現場からFAXで送られてくる“1/1オクターブ(実は1/3オクターブ)分析結果”の総和がオーバオール値よりも,5dBも低く,「計測周波数範囲からはずれた超低周波音か?」と大騒ぎした経験があります。

(高野 靖:日立製作所)