日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (102)

Q:

ヨーロッパではオーケストラの演奏者が耳栓(イヤプラグ)を装着して演奏したり,ロックコンサートの入り口に,耳栓がおいてあったりするとききましたが,本当ですか?

A:

本当です。ただし,ヨーロッパの国々は,この問題に対して違った対応をしてきており,また規制も違うようです。また,この問題に関する研究も比較的限られています。そこで,私の知る幾つかの国の場合について述べてみましょう。
 スイスでは,コンサート会場における聴力保護用プロテクタに関する規制があります。騒音レベルが93dBを越える場合には,主催者は聴衆にプロテクタを提供する義務があるのです。また,私の知っている範囲でいえば,フィンランド,イギリス,デンマーク,スウェーデン,ノルウェーでは,コンサート会場にプロテクタ(通常イヤプラグ)が準備してあったり,販売されたりしています。
 演奏側をみてみると,演奏中にプロテクタを装着する人は現在着実に増えています。しかし,その比率はいまだ,かなり低いといわざるをえません。その原因は,他の演奏者との横のつながりの不足や,自身の楽器音の音のイメージが変わってしまうことにあるようです。フィンランドの主要な五つのオーケストラで調べた結果,本番時では,たまに又はときどき使用する者が46%,しばしば又は常に使用する者が15%,リハーサルでは,それぞれ55%と19%,そして個人で練習する場合には,それぞれ23%と8%という結果が出ています。個人練習の場合の騒音レベルはリハーサルや本番と同程度ということが分かっていますが,プロテクタの利用率は低くなっています。

(回答:フィンランド労働衛生研究所ヘリ・ライティネン,訳:東北大学 鈴木陽一)