日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (105)

Q:

携帯電話でインターネットの情報を取得する機能が普及していますが,そのほかに,ボイスポータルという言葉を聞いたことがあります。それは,どのようなものなのでしょうか?

A:

音声を使ってインターネットに電話でアクセスできるシステムを「ボイスポータル」と呼んでいます。すでに実用化されているサービスを例に挙げると,音声ガイドに従いながら順番に「天気案内」「東京都」「東京」「明日」と音声で命令するだけで,明日の東京の天気を知ることができます。また,乗換案内を検索する場合には「東京駅」「表参道」のように駅名をそのまま音声で入力できます。このように音声認識を用いることで,ボタンを押して操作していた従来の電話応答システムと比べて,使い易く高機能になっています。
 ボイスポータルによるサービスとしては,幅広い利用者を対象とした一般向けサービスと,特定の利用者に向けて企業などが行うサービスが考えられます。一般向けサービスの主な内容としては,ニュース,天気予報,占い,バンキング,株価情報,電子メールの読み上げ,などが挙げられます。また,特定の利用者向けのものとしては,通信販売のテレビ番組を視聴した人が注文や問い合わせをする,航空会社の利用者がチケットの予約や変更をする,といったサービスを人手を使わずに提供できます。
 ポータル(玄関)という考え方はウェブのポータルサイトに由来します。ボイスポータルの利点は,一つの電話番号にアクセスすれば,電話をかけ直すことなしに様々なサービスを続けて使えることです。しかし,残念ながら,従来のウェブブラウザや携帯電話のインターネット接続で利用できる情報やサービスがそのままボイスポータルで利用できるわけではありません。ウェブの情報をそのまま音声化するのではなく,音声に適した表現に加工して提供することが重要だからです。
 現在ボイスポータルで使われている技術では,単純な言い回しでしか音声入力を行うことができません。しかし今後,ボイスポータルが普及していくに従って,自由な喋り方によって欲しい情報を選択したり,複雑な交渉を音声で行うことができるようになるでしょう。また,音声で検索した情報を携帯電話などの画面に表示する,といった技術も開発されています。

(西本卓也:京都工芸繊維大学)