日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (113)

Q:

音に関係する規格(国際規格や国内規格)は,どのようなところで決められるのですか?

A:

まず国際規格を決定する機関としては国際標準化機構(International Organization for Standardization: ISO)があります。音響に関する規格はこの中の技術委員会ISO/TC43(音響),ISO/TC43/SC1(騒音),ISO/TC43/SC2(建築音響)で審議され決定されています。本学会誌58巻2号には,ISOの規格である最小可聴値と等ラウドネス曲線の見直し改訂作業の経過についての解説記事があります[1]。国際規格の策定の過程が詳細に理解でき興味深い一編です。
また,計測用マイクロホン,音響計測器,補聴器,オージオメータ,フィルタ等,測定に関する電気音響機器の規格は国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission: IEC)の技術委員会IEC/TC29が担当し,1年半ごとに開催される総会にて審議されているそうです。
ASJ誌58巻12号には2002年5月にパリで開催されたISO総会とWG会議[2],続いて6月,フランクフルトで行われたIEC総会の会議報告[3]があり,最新の審議状況や改訂作業等について知ることができます。
その他,通信分野に関係する規格を制定する機関としては国際電気通信連合(International Telecommunication Union)があり,電気通信標準化部門(ITU-T: Telecommunication Standards Sector)と無線通信部門(ITU-R: Raiocommunication Sector)から構成されています。例えばITU-Rでは放送用音声の品質評価法などが定められています。
Audio Engineering Society(AES)がEuropian Broadcasting Union(EBU)とで策定するAES/EBU規格では主にプロフェッショナル・ディジタルオーディオ信号の伝送に関するフォーマットが決定されています。
日本国内では日本工業標準調査会(JISC)が審議して制定するJIS(日本工業規格)がありますが,最近ではISO規格との整合を意図した多くの改正がなされているようです。
また,よく知られているMPEG(Moving Picture Expert Group)は動画(ビデオ)信号の圧縮符号化を標準化するためにISOとIECが設立した組織ですが,今や符号化方式そのものの愛称として定着しており,その中には音声音響の圧縮符号化や映像と音声の同期多重化等の規格も含まれています。
国際規格の審議状況をはじめ,JIS規格等の改定の際はその都度,学会誌に報告,あるいは解説記事として掲載されていますので,これを機会に読み返してみると面白いかと思います。

文献
[1]鈴木陽一, 竹島久志:最小可聴値と等ラウドネス曲線をめぐる最近の話題. 音響学会誌, 58, 130-137 (2002).
[2] 子安 勝, 橘 秀樹, 鈴木陽一, 山田一郎, 吉村純一, 君塚郁夫, 桑野園子, 白橋良宏, 竹島久志:ISO/TC43・ISO/TC43/SC1・ISO/TC43/SC2総会─音響に関する国際規格の審議状況:パリ会議─. 音響学会誌, 58, 799-802 (2002).
[3] 舘野 誠, 堀内竜三, 瀧浪弘章, 村上 聖:IEC/TC29 “電気音響” フランクフルト会議 (2002). 音響学会誌, 58, 803-804 (2002).
[4] 佐藤宗純, 藤森 咸:音響計測における不確かさ. 音響学会誌, 59, 88-93 (2003).

(渡邉祐子:東京電機大)