日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (120)

Q:

日本語の方言にはどんな種類がありますか。実際にいろいろな方言の音声を聞いてみたいです。

A:

韻律的な側面から分類すると,日本語は大きく三つの方言アクセントにわけることができます。
東京地域の標準アクセント,京阪アクセント,鹿児島アクセントのようにアクセントの種類が少ないタイプの3方言です。もちろん,これはとても大きな区分で,三つのグループにはバリエーションがたくさんあります。例えば,広島方言や大分方言も東京式アクセントのグループに入ります。福島のように北の方の地域のアクセントと宮崎のように南の地域のアクセントとは,同じくアクセントの種類が少ないグループに分類されます。離れているのに同じグループに入るとは,とても不思議です。この二つの地域でアクセントが似ていると感じていた方も多いと思います。アクセントだけでなく,母音の無声化が起きる地域と起きない地域,ガ行鼻音を発音する地域としない地域のように日本語の方言を区分することもできますし,文法的な側面から方言を区分することもでき,着目する視点によっていろいろな方言の区画方法があります。現在では,標準語の大きな影響によって,多くの日本語の方言が失われつつあります。今や方言は,消滅の危機にある動物と同じように,標準語という「外敵」から守って保存していかなくてはならない文化遺産ともいえます。実際の方言音声を,CDやDATで聞くことができます。平成元年から4年にかけて実施された重点領域研究「日本語音声」(代表:杉藤美代子 現・音声言語研究所所長)では,日本主要13都市及び北海道から沖縄まで全国105地点で,1,200名を超える話者を対象に,同一の調査リストを用いて大規模な方言調査が行われました。この調査の成果はDAT(一部CD-ROM)にまとめられています。現在,名古屋大学CIAIRのデータベース委員会では,この調査による音声資料や調査リストなどのテキスト資料の電子化を進めています。方言音声のデータベースによって,日本語方言のバリエーションや世代による違いを実際に聞いてみることや,今は聞くことのできなくなった,その地方の伝統的な古い日本語を聞いてみることができます。2004年春に完成予定ですので,ぜひともご利用下さい。

(白勢彩子:名古屋大・情報科学研究科)