日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (125)

Q:

EU Noise Policyについて教えて下さい。

A:

EU Noise Policyとは,現在ヨーロッパで進行中の環境騒音政策とその行動計画全体のことを言います。ヨーロッパでは1996年にグリーンペーパと呼ばれる環境調査報告書が出されました。この報告書では,都市や都市近郊の住宅密集地における環境騒音が依然として高いままであり,騒音の状況を速やかに改善する必要があるとの指摘が行われました。EU(欧州共同体)は,その報告を深刻に受け止めて環境問題として騒音を取り上げ,問題解決のプランの検討を開始しました。そして2002年6月25日に「環境騒音のアセスメントと管理に関する欧州議会及び閣僚理事会の指令2002/49/EC」が決議され,加盟国はその指令に沿った行動を行うことになりました。この指令は加盟国に次のようなことを求めています。
(1) 加盟国共通の影響評価手法を用い,騒音マッピングを行って環境騒音に対する暴露を算定すること。
(2) 環境騒音とその影響に関する情報を市民に公開にすること。
(3) 環境騒音を低減防止するための行動計画(Action Plan)を採択すること。対象騒音は道路騒音,鉄道騒音,航空機騒音,工場騒音であり,車室内や軍用基地周辺の騒音は対象外です。騒音の評価指標は既にを採用することが決まっています。この評価指標について,加盟各国は限度値すなわち騒音の規制値を決め,2005年7月18日までに欧州委員会に報告しなければなりません。一方,騒音地図を作成するための騒音予測法は,すでに決まっており,道路騒音はフランスの予測モデル,鉄道騒音はオランダの予測モデル,航空機騒音はECAC.CEACという名称の予測モデル,工場騒音はISO 9613-2を使うことになっています。これらを用いて,加盟国は2007年6月30日までに,人口密集地域,主要道路・鉄道・空港の戦略的騒音地図を作ることになっています。更にその後,2008年7月18日までには騒音影響や騒音対策に関する行動計画を策定し,実行に移さなければなりません。戦略的騒音地図の作成と行動計画の見直しはその後5年ごとに行うこととしています。このような,壮大なプランが現在ヨーロッパという大きな地域で進行中であり,我々も関心を寄せておく必要があります。

(山本貢平:小林理研)