日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (129)

Q:

最近の学会発表などで、振動関連の単位をデシベル(dB)と共にで提示しているケースが見うけられます。何等かの変更があったのでしょうか。これに関する国内外の動向を教えて下さい。

A:

振動関係では、加速度、速度、変位を表す単位として、物理量のSI単位 、m/s、mが用いられます。しかしながら、人の振動感覚を基にした評価を行う環境振動(公害振動)では、デシベル(dB)表示の振動加速度レベルを用います。特に振動加速度に人体の振動感覚補正を周波数及び時間特性に施した量を振動レベルと言い、振動加速度レベル同様、表示単位はデシベル(dB)を用います。振動加速度レベル、振動レベルは、を基準()振動加速度として、測定した振動加速度(a)との比を対数表現したもので、次式で表します。

 公害(環境)に関わる振動の評価量である振動レベルを定めるとき、参考とした国際規格に1974年発行のISO-2631があります。この規格は、その後も継続的に審議され1985年にPart1からPart4と評価対象ごとに整備充実されました。1974年発行のISO-2631はこの時、ISO-2631-1(Part1)となりましたが、規格内容の変更はほとんど有りませんでした。1974年発行のISO-2631は、全身振動を評価する振動加速度の単位に、、デシベル(dB)何れの表記も可能としており、振動加速度レベルを表現する時の基準振動加速度には、を推奨していました。1985年発行のISO-2631-1は、振動加速度レベルを表現する時の基準振動加速度に、を推奨し、は使用しても良い程度の記述になりました。その後も、ISOは、人体振動に関係する評価方法の規格整備をが精力的にすすめ、現在、全振動関係は、ISO-2631-1:1997「全身振動評価:一般要求事項」、ISO-2631-2:2003「建物内の振動影響評価」、ISO-2631-4:2001「軌道システムの振動影響評価」、ISO-2631-5:2003「座席上の繰返し振動衝撃影響評価」が発行されています。
 手腕振動関係ではISO-5349-1及び5349-2:2001「手腕振動:一般要求事項と作業現場の測定指針」が発行されています。この他船舶関係の居住性評価にISO-2531-2を適用するISO-6954も制定されています。人体振動評価の規格が整備される中、1990年、測定器の規格ISO-8041が制定されましたが、1997年以降のISO-2631、ISO-5349改正に合わせて、2003年 ISO-8041DISが発行されました。
1997年以降発行の一連の人体振動関連のISO規格には、評価量としてデシベル(dB)表現がありません。環境に関わる学会発表でISO規格を背景とするものに、表現がふえているのはこのような状況によるものでしょう。
さらに、デシベルを用いる場合の基準振動加速度は、のみが記述されています。人体振動を評価する最新の国際規格が、乗り物や、工具などの国際取り引きに使用されていることから、ISO-2631-1、ISO−5349-2、ISO-8041DIS 対応するJISB7760-1、-2、JISB7761-1、-2が2004年に発行されました。

(吉川教治 リオン)