日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (137)

Q:

圧電アクチュエータとはどんなものですか。性能を表す式の中で使われている圧電定数のd31やd33の違いは何ですか?

A:

アクチュエータはスピーカ,加振器,モータなど駆動装置や素子の総称で,代表的なものに空気・油圧型,電動型,圧電型があります。空気・油圧型は数メートルもの変形量がとれて力も強力で,ジャッキ等に用いられます。電動型は磁場の中をコイルが動くので速度が比較的早く,スピーカやモータ等に用いられます。
 圧電型は圧電セラミックを駆動源として用いたもので,電圧を加えると力を発生し,変形を生じます。変位はマイクロメータオーダですが電圧に比例して生じるのでナノスケールで制御でき,大きな力を発生させることも出来ます。また応答周波数も超音波領域までカバーできます。これはインクジェットプリンタのインジェクタや超音波モーター等に用いられます。
 さて,圧電型アクチュエータの性能を求めるときに使われる圧電定数のd定数とは,電圧をかけたときの変形のし易さを表す量で,単位は歪/電界[m/V](=分極/応力[C/N])です。d33とd31の違いですが,d33は電極面に垂直(厚み方向)の伸び縮みを指します。このモードは積層型アクチュエータに応用されます。 d31は電極面にそった方向の伸び縮みを指します。このモードはバイモルフに応用されます。
 厚み伸縮(d33)のモードを使う場合,厚み方向の変位はd33と電圧の積となります。セラミック圧電体の代表的な値d33 = 300 pm/V(=pC/N)とすると,1,000Vで0.3マイクロメータ変形します。ここでセラミックの厚みが入っていないことに注意してください。同じ電圧を加えると厚みに関係なく同じ量伸び縮みするという面白い性質があります。また,何枚もの素子を積層して作り素子の電極をすべて並列につなげると,積層したものと同じ厚みを持つ一枚物の素子と比べ,必要な電圧は枚数分の一で済みます。
 長さ伸縮(d31)モードを応用したバイモルフ型アクチュエータは,2枚の短冊状の圧電体を片方が伸びるときに他方が縮む向きに貼り合わせ電極で挟みます。電圧を加えると曲がります。この方法の特徴は,長手方向の一端を固定したときの他端の変位が大きくとれることです。圧電率d31 = -200 pC/N,長さ10cm, 厚み1mm とすると,100Vの電圧で0.15mm端が動きます。
 厚み伸縮の場合,変位は小さいですが,面積を1cm2とすると,1.5kg重の力を発生します。バイモルフの場合では変位は大きいですが,幅1cmとすると,0.24g重しか力は出せません。
 このほかに材料の性質を利用したものとして,電歪効果や磁歪効果を利用したアクチュエータがあります。

(児玉秀和,伊達宗宏:小林理研)