日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (143)

Q:

本号に, ISO及びIECの会議報告が掲載されていますが, これらの会議の位置づけや構成, また, 日本音響学会の貢献について教えてください。

A:

ISOもIECも国際間の協力を促進するために, 世界的な標準化及びその関連活動の発展を図ることを目的として設立された非政府組織で, 最も重要な活動として, 国際規格の発行が挙げられます。
IECは, 英語名称をInternational Electrotechnical Organization (国際電気標準会議) といい, すべての電気技術分野を標準化の対象とします。
ISOは, 英語名称をInternational Organization for Standardization (国際標準化機構) といい, 電気技術分野を除くすべての技術分野を対象とします。なお, ISOは略称ではなく, 平等を意味するギリシャ語に由来します。
規格案の審議, 作成は, 分野ごとに設置されたTC (Technical Committee) 又はSC (Sub-Committee) と呼ばれる組織が担当します。ISOには約740, IECには約170のTC及びSCが設置されています。各TCに対して, 日本側で対応する機関として, 様々な学協会が国内審議団体として指定されています。日本音響学会は, ISO/TC 43 (音響), ISO/TC 43/SC 1 (騒音), ISO/TC 43/SC 2 (建築音響) 及びIEC/TC 29 (電気音響) の国内審議団体となっています。
TC又はSCには, 規格案の詳細を審議するWG (Working Group) が設けられ, その委員は, 国内審議団体の推薦により登録されます。
規格発行までの手続きは, ISO/IEC Directivesで詳細に規定されています。
まず, NP (新作業項目) として規格作成の起案が認められると正式に作業が開始され, WD (Working Draft) が作成されます。WDはWG外には非公開です。WDが一定の水準に達すると, CD (Committee Draft) として, 各国の審議団体に公開し, コメントを求めます。各国からのコメントを基に修正を加えてDIS (Draft International Standard) を作成し, コメントを求めると共に投票に付します。IECの場合にはこの原案をCDV (Committee Draft for Voting) と呼びます。投票結果が定められた基準を満たすと, FDIS (Final Draft International Standard) として, 再度投票に付します。FDISが承認されると, 2か月以内に国際規格として発行されます。
音響学会では, 国内委員会を設置してこれらの原案審議に対応しています。特に, 音源の音響パワーレベルの算出方法, 情報機器の騒音レベルの測定方法については, 子安勝氏, 橘秀樹氏, 君塚郁夫氏がWGの主査を努めて中心的な役割を果たしてきたほか, 等ラウドネス曲線の改訂にあたって重要なデータを提供するなど (音響学会誌58巻2号参照), 国際標準化における日本の貢献は大きいといえます。
更に詳しい情報は, ISO及びIECの加盟団体であるJISC (日本工業標準調査会) のウェブサイト (http://www.jisc.go.jp/) に掲載されています。国際標準化の理解に役立てていただければ幸いです。

(瀧浪弘章: IEC/TC 29国内委員会幹事)