日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (145)

Q:

クリーンで環境に優しい動力源として、スターリングエンジンがいろいろなところで紹介されています。このエンジンの特長、応用分野について教えてください。

A:

蒸気機関の初期には蒸気ボイラの爆発事故が多発し,その代替機関として,低圧の熱空気を作動ガスとするスターリングエンジン(Stirling Engine)が1816年にスコットランドの牧師・Robert StirlingによってHot Air Engineとして発明された。図1がそのStirling Engineで,作動ガスの空気に外部から壁を通じて熱を加える外燃機関である。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの内燃機関が発明されてからは,Stirling Engineは動力の主流の座を降りてしまった。
 Stirling Engineは外燃機関であるため,1. 燃料の種類は問わず,太陽熱,バイオマス,廃熱等,熱源の種類は何でも良い。2. 化石燃料を使用する場合でも,燃焼が連続燃焼であるため燃焼ガス温度が低いことから,NOxの発生量が少ない。3. 作動ガスの圧力変動が正弦波状であるため振動,騒音面で有利である。しかしながら,動力源として広く普及しないのは次のような問題点がある。4. 作動ガスの漏れによる気密保持が難しい。5. 作動ガスの圧力を高められないので容積当りの出力が高められない。6. 出力当りの重量が大きく,コストも高い。欧米では1970年代に,日本では1980年頃に盛んに自動車用エンンジンとして開発されたが,自動車メーカーの本格的な参入がなかった。1982年〜1987年の通産省のムーンライト計画で汎用Stirling Engineの開発が進んだ。この技術が生かされることを期待したい。実験的なものではあるが,地上・宇宙での太陽熱発電,潜水艦,人工心臓,冷凍機・ヒートポンプ等にStirling Engineが応用されている。

下記のURLはStirling サイクルの作動原理を理解するのに役立つと思われます。
http://members.jcom.home.ne.jp/kobysh/stirling/stirlingIntro.html

(庄司秀夫:日大)