日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (155)

Q:

マイクロホンに風があたる場合,スポンジのようなウインドスクリーンを用いるとよいと聞きます。ウインドスクリーンはどのような材料と構造で出来ているのでしょうか?また,ウィンドスクリーンにより,音は変化してしまわないのでしょうか?

A:

風の影響によりマイクロホンで検出される雑音が風雑音であり,この影響を低減するために使用されるのがウインドスクリーン(防風スクリーン)です。理想的なウインドスクリーンとはマイクロホンに音響的な影響を及ぼすことなく,風雑音の大きな減少効果が得られるものをいいます。ウインドスクリーンには騒音測定時にのみ一時的に使用するタイプと,屋外で長時間の騒音監視に使用する雨天対応の全天候型に大別されます。
  ウインドスクリーンの材料には多孔質のウレタンフォームが一般に使用されています。ウレタンフォームの気泡は製造法によって異なり,独立気泡タイプではフォーム中の気泡の膜による影響で中・高周波数領域の音響的な影響が大きくなり実用的ではありません。そこでウインドスクリーンにはこの膜部分を完全に取り除いた網状骨格構造のウレタンフォームを使用します。しかしながら,膜部分を取り除いた場合でも気泡の密度によって性能は異なります。気泡の密度が高いと音響的な影響が大きくなり,密度が低くなると音響的な影響は小さくなりますが風雑音の減少効果も小さくなってしまうため,実際のウインドスクリーンでは性能を両立できる気泡密度の材料を選択して使用します。その結果,図-1に示すように実際のウインドスクリーンがマイクロホンに及ぼす音響的影響は小さくなっています。また図-2にウインドスクリーンの有無による風雑音のレベル(例)を示します。ウインドスクリーンにより風雑音の減少効果は20 dB以上ありますが,それでも風の強い日には影響を無視できない場合があるので注意が必要です。
  なお,全天候型のウインドスクリーンでは雨滴からマイクロホンを保護するための構造として,ウレタンフォームの内部にナイロン不織布の覆いや傘状の構造が備えられています。


図-1 ウインドスクリーンによるマイクロホンの周波数特性への影響


図-2 A特性での風雑音レベル

若林友晴 (リオン)