日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (156)

Q:

ある設備機器からの固体伝搬音の検討をしたいのですが,機器から発生する加振力の大きさが分からないので測定しようと思います。工場での試運転や既設の機器がありますが,どのような測定法で測定するのが良いでしょうか。

A:

設備からの固体伝搬音の検討に際しては,騒音検討で機器のパワーレベルの把握が重要であると同じように,音源(振動源)の加振力を把握することが予測精度を確保する重要な要因となります。加振力を得るための測定方法は,以下に示す3種類の測定法がありますが,機器の設置・運転状況や用意できる測定器により適宜選択する必要があります。
(1) 直接法
  直接法は,設備機器の支持部すべてに力変換器を取り付け,加振力を直接測定して,それらの値をエネルギー合成して機器加振力を求める方法です。設備機器と躯体との間に力変換器を挿入する必要があり,測定が機器設置後の場合は適用が困難となります。また,設置点の剛性も測定精度に影響するため,剛性の高い場所に設置する必要があります。しかし測定の精度を考えると,直接法は加振力を直接測定することになるため,他の方法に比べ誤差が少ないと言われています。
(2) 置換法
  置換法は,設備機器停止時に,既知の加振力の標準加振源で機器設置点を加振したときに,加振した加振力と設置点で発生する振動応答との比(例えば振動の測定量が振動速度であれば駆動点インピーダンスやモビリティ)と,機器運転時の振動測定結果から比例の関係を用いて機器支持点の加振力を算出し,それらの値をエネルギー平均して機器加振力を求める方法です。置換法は既知の加振力を用いて振動応答を測定するときに機器の運転をどうしても停止しなければならないことや,力を測定するためにインパクトハンマが必要といった問題があります。
(3) 弾性支持法
  弾性支持法は,機器をばねやゴム等の弾性体上に支持し,機器運転時に弾性体の支持点上(例えば防振架台上)で発生する振動加速度のエネルギー平均値と弾性体上の機器質量の積から加振力を求める方法です。振動加速度を測るだけで,防振系の固有振動数が分かっていれば実際に設置された現場でも比較的容易に測定できるので,3種類の測定法の中では一番手軽な測定法と言えます。ただし機器の振動が一体振動でなくなる高い振動数領域では,直接法に比べ加振力が大きく出る傾向にあります。

峯村敦雄 (鹿島技研)