日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (159)

Q:

どうしてピアノの白鍵と黒鍵は今のように配置されているのですか?

A:

確かにピアノの鍵盤は,白鍵をW,黒鍵をBで表すと,WBWBWWBWBWBWBW と並んでいます。1オクターブの12音を WBWBWBWBWBWB と並べる方法もあったかもしれません。
  このご質問に答えるためには,鍵盤の歴史をひもとく必要があります。人が獲得してきた音楽の歴史を音組織からみると,話し言葉を誇張して二音の音組織,そして,5音音階,6音音階とオクターブ内の音が不得手きました。やがて1オクターブをドレミファソラシドの7音から構成する音階が定着しました。最初の鍵盤楽器であるオルガンの起源は紀元前までさかのぼりますが,昔のオルガンには現在の黒鍵にあたるキーは付いていませんでした。やがて,音の響きへの要求から次第に黒鍵にあたるキーが追加され,現在の12のキーからなる鍵盤にたどり着きました。文献によれば,これは13世紀から14世紀頃にかけてのことです。
  それでは,ドレミファソラシドの7音にはどのような特徴があるのでしょうか?
  1オクターブ離れた2音の振動数比が1:2であることはよく知られていますが,ドレミファソラシドの7音はドと他の音との振動数比が簡単な整数比となる音程 (協和音程) をもとに構成されます。このような音階の構成法として代表的なものが純正律です。純正律では,例えば,ドミソの和音は4:5:6の振動数比で構成されます。また,ドレミファソラシドの隣同士の振動数比には全音と半音があり,全音の振動数比は半音の振動数比の2倍程度になっています。下に示すように,ミとファの間とシとドの間の2箇所が半音,後の5箇所では全音となっています。

  ド(全音)レ(全音)ミ(半音)ファ(全音)
  ソ(全音)ラ(全音)シ(半音)ド

  上の5箇所の全音の所に黒鍵を入れると,1オクターブを12の半音で構成する現在の鍵盤になります。
  なお,現代のピアノでは普通,12平均律とよばれる音律が使われており,純正律の比率とは若干異なっています。12平均律の半音の比率は2の12乗根になっており,12の半音で1オクターブの音程を構成しています。

大津直規 (国立音楽大学)