日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (164)

Q:

建物の設備機器は振動や固体伝搬音を防止するために防振されて設置されていますが,ゴムや金属のコイルばねなどいろいろな種類の防振材が使われています。これらの防振材はどのように使い分けられているのでしょうか。

A:

防振材の防振効果は振動発生機器から設置点(例えば床)への変位や力伝達率で表されます。厳密には設置点の剛性などを考慮した多自由系とすべきところですが,実用上は簡便化のために一つの質点(機器)と一つの弾性体(防振材)からなる1自由度系モデルとして扱うことが一般的です。このときの防振効果の周波数特性は,ご存じのように系の固有振動数で基準化でき,固有振動数近辺では力や振動の振幅が増幅され,固有振動数の21/2倍以上で防振効果を得ることができます。また,振動数が高くなるほどその効果も大きくなる特性を持っています。つまり,固有振動数を低くすればするほど広い周波数領域に防振効果を得ることができ,その量も大きくなります。しかしながら一般に固有振動数を低くする防振方法は機器自体の変位が大きくなり機能上の問題を生じ,またコストも高くなる傾向にあります。また,材料によって許容荷重の制約があるため,いくらでも固有振動数を低く設定できるわけではありません。従って防振の必要量を最低限満たすなるべくコストのかからない防振材を選択することになります。
  実際に建築の設備機器で用いられている主な防振材と設定が可能な固有振動数はおおむね以下のとおりです。
  空気ばね:1 Hz 以上
  金属ばね:2.5 Hz 以上
  防振ゴム:10 Hz 以上
  金属ばね内蔵ゴムパッド:12 Hz 以上
  ゴムパッド:20 Hz 以上
  その他に浮床などに用いる板状の材料としてグラスウール,ロックウール,ポリオレフィン系発泡樹脂が用いられます。
  また,防振材は固有振動数だけでなく,使われる場所によっては熱や液体,有機溶剤材の暴露を考慮して選定されています。
  以上はパッシブ系の防振材ですが,最近はアクティブ制御による防振(除振)装置も用いられてきています。しかし適用周波数やコストの問題から特殊な用途に限られており,一般的な設備機器に用いられるには至っていない状況です。

峯村 敦雄(鹿島技研)