日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (002)

Q:

日本国内において,騒音レベルの単位が「ホン」から「デシベル(dB)」に改正されたと聞きました。その理由は何でしょうか。これは後述のdB(A)と同じものでしょうか。なお,従来「デシベル(dB)」を用いる場合には,二つの音の大きさの比を表す場合(dBと表記)と,dBSPL(基準音圧を20 μPaとした「音圧レベル」),dB(A)(基準音圧を20 μPaとし,A特性の周波数重みづけをして測定した「騒音レベル」),dBHL(基準音圧を健常者の最小可聴値(国際・国内規格による)とした「聴力レベル」)等のように,ある基準に対する音の大きさを表わす場合とを区別してきたと思います。上記の改正は騒音レベルでは基準を表わす表記(A)を付加する必要がなくなったということでしょうか。他の表記SPL,HL等も付加する必要はないということなのでしょうか。

A:

騒音レベルの単位がデシベルに統一された話と,dB に関係する各種表記方法の話の2点に分けて回答します。
  第1は,平成5年11月に新しい計量法が施行されたことに関係します。旧法では「騒音レベルの計量単位は,ホン又はデシベルとする。」となっていましたが,新法では音圧レベル(いわゆる“騒音レベル”も含む。平成9年1月号の会誌の Q&A 参照)の単位はデシベルとすることになりました。その際,「平成9年9月30日まではホンをデシベルとみなす」という猶予がつきましたが,これが遂に切れたことが一部マスコミで報道されたようです。
  現在,騒音レベルの単位をデシベル,記号は dB とすることは国際的な合意事項です。JIS(音響用語 JIS Z 8106 や騒音レベル測定方法 JIS Z 8731)では,すでにデシベル(dB)のみとなっていますし,現在市販されている騒音計も dB としか書かれていません。つまり,国内・国際規格はすべてデシベルとなっており,それを法律が後追いしただけです。ただし,まだホンやホン(A)と書かれた文書もあり,完全な統一は難しいようです。
第2の単位記号の問題については,昭和50年代の音響学会誌に掲載された騒音レベルや他の騒音評価量の単位の混乱についての意見(例えば32巻3号,4号のエコールームの欄)が参考になります。騒音レベルについても,ホン,ホン(A),dB,dB(A),dBA 等がでてきます。A特性をどう単位として表現するか,意見は分かれていたようです。音響工学講座(音響学会編)でも発行年と共に騒音レベルの単位は dB(A) から dB へ変化していますし,その混乱がまだ納まっていないのが実状かと思います。
  しかしながら,現在,国際的に同意された考えは,「すべてのレベルの単位は dB とする。何の量であるかについては,それを明記するか,Lp(音圧レベル),LA(騒音レベル)などの量記号で表す。」であり,単位記号には量の種類を表す記号は付加しません。JIS にしろ ISO や IEC 規格にしろ,強制力はありません。また,計量法も「取引・証明に関する単位」について規制したもので,個人的に使う単位についてふれているわけではありません。しかし,他の人との意志疎通をスムーズにするためには単位や単位記号の統一が必要でしょう。
  以上のことから,質問に対する答えは,以下のようになります。
1)デシベルにした理由は,国際的な整合性の考えに基づく。
2)騒音レベルの数値はdB(A)やホンからdBとなっても同じである。
3)すべてのレベルの単位記号はdBのみとする。なお,量の種類を明記することで区別する。

佐藤 宗純(電総研)