日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (025)

Q:

排水性舗装が道路騒音の低減に有効であると聞きましたが,それはどのようなものですか?

A:

ご質問にお答えする前に,まず一般の舗装と排水性舗装の構造を簡単に説明します。一般の舗装で用いられている砕石は,最も大きいもので粒径が約 13 mm (又は 20 mm) であり,この砕石と砕石の隙間を埋めるため,これよりも小さい砕石や砂が配合されています。これらの砕石や砂はバインダと呼ばれるアスファルト材によって接合され,空隙がほとんどない構造となって舗装されます。このような舗装の代表的なものとして密粒アスファルトコンクリート舗装があり,道路の表層として一般に広く用いられています。
  一方,排水性舗装では,一番大きい砕石の粒径は前述の場合とほぼ同様ですが,砕石と砕石の間を埋める小さな砕石や砂はほとんど使用されていません。そのため,排水性舗装は大きな砕石を高粘度のバインダで接合した構造となっており,空隙が多く存在します。このような舗装を開粒アスファルトコンクリート舗装と呼んでいます。この種の舗装では,道路の表層がポーラスな構造となっており,雨水は路面に浸透し排水され,舗装表面にはほとんど水たまりができません。そのため,雨天時のハイドロプレーニング現象(タイヤと路面の間に水膜が形成される危険な現象)や水はねによる視界不良等がなくなり,雨天時の安全性が確保されます。
  本題である自動車騒音の低減について考えてみると,排水性舗装は既に述べたように多孔質体となっているため,吸音特性が優れています。この吸音特性は,舗装の厚さなどによって変化しますが,我々の研究所で測定した吸音率は,舗装厚さ 50 mm の場合,1 kHz 付近で 0.6〜0.7 となっていました。この吸音特性によって排水性舗装の道路では,自動車の走行騒音が大きく低減します。この騒音低減のメカニズムとしては,騒音発生の抑制効果と騒音伝搬の吸音効果が報告されています。前者は,主にタイヤ騒音の低減が主体となっており,タイヤの溝で発生する気柱共鳴やエア・ポンピングの減少による効果です。後者は,発生したタイヤ騒音やエンジン騒音が伝搬過程において吸音される効果です。
  排水性舗装における自動車走行騒音の低減効果についてはこれまで多くの報告例がありますが,大型トラックについて調べた我々の結果では,一般の舗装路面に比べてタイヤ騒音の騒音レベルで 2.6〜3.4 dB,エンジン騒音の騒音レベルで 2.4〜2.7 dB 低減していました。
  このように,排水性舗装の道路は自動車走行騒音の低減に有効です。しかし,一般の舗装に比べて耐久性が乏しいと言われていますが,最近では,砕石と砕石を接合する特殊バインダの研究・開発が進み,以前に比べてかなり改善されています。また,長期にわたって騒音の低減効果を保つためには道路の多孔質性を維持する必要があり,泥なとによって目詰まりが生じると騒音の低減効果が低下します。そのため,目詰まりを除去する方法なども各方面で検討されています。

押野 康夫(日本自動車研)