日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (031)

Q:

電話は音声を用いた手軽な通信手段として現代では不可欠なツールですね。ところで,我が家の電話機は外の電話回線と2本の線(+と−?)でつながっていますが,何故,+と−の一組の線で,自分の声を相手に送ることと相手の声を聞くことの両方ができるのでしょうか?

A:

一般のアナログ電話機はご指摘のように2本一組の線路で交換機に接続されています。電話機の内部には送話器につながる2本の線と,受話器につながる2本の線の計4本を,電話回線の2本の線に接続する2線4線変換回路(防側音回路あるいはハイブリッド回路とも呼ばれる)が組み込まれています。なお,送話器とはこちらの音声を電気信号に変換する部品でハンドセットの口元側に実装されているもので,受話器とは,相手の話した音声の電気信号をもとの音声に変換する部品で耳元側に実装されています。この2線4線変換回路は信号を電話回線へ,受話信号を受話器へ効率よく伝達すると共に,送話信号が受話器に漏れないように工夫された電子回路でIC化され部品として提供されています。ただし,多少は自分の声が自分の受話器に漏れて聞こえます。また,漏れる音声の量は電話機の内部のインピーダンスと電話回線のインピーダンスの整合の度合いによって異なります。また,ある程度漏れがあった方が自然に感じるという評価結果もあります。 いずれにしろ,この2線4線変換回路によって,一組の線で,自分の声を相手に送ることと相手の声を聞くことの両方ができるわけです。なお,ISDN などのディジタル回線では送話信号と受話信号が時分割多重されているので,2本の電話回線という点では同じですが,実質上4線と同じ状態で通信できる点で異なります。また,最近話題の PHS や携帯電話などの無線系の電話では,無線区間はすべて上りと下りで別の電波を用いるため4線の通信を提供していることになります。

西 宏之(NTT)