日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (032)

Q:

振動でいう dB という単位は,音の場合の dB と同様に万国共通として考えていいのでしょうか?

A:

dB の考え方は同じですが,振動の場合,万国共通としては考えられません。といいますのは,振動加速度レベルを求める場合,VAL = 20log10(a/a0) (dB) を用いますが,我が国では基準振動加速度 a0を 10-5 m/s2 としています。dB での表示の使用も認めている ISO では,この基準振動加速度a0を10-6 m/s2としていますので,同じ振動加速度実効値であっても,我が国と 20 dB 異なる数値となります。 このように振動加速度レベルの dB 表示には国際性に難があると思われます。このような基準振動加速度値に差が生じましたのは,以下のような理由によります。
  1966年に ISO で振動評価が提案されたときの基準振動加速度値は当初 10-5 m/s2 でありその提案を日本はいちはやく振動レベル計に取り入れました。しかし,次回の ISO で 10-6 m/s2 が基準振動加速度値として採用されました。日本ではすでに 10-5 m/s2 として動きだしており,そのまま現在に至っています。近年の ISO 及び欧米では,dB 表示のダイナミックレンジの狭さから利点に乏しいことにより,振動加速度実効値(m/s2)が用いられるようになってきております。また,欧州統合後,EC からの機械安全指令での全身振動及び手腕振動の安全許容値として 0.5 m/s2 及び 2.5 m/s2 が用いられてきておりますので,今後日本からの輸出製品の振動の表示としても,この振動加速度実効値(m/s2)を測定していかなければならないようになると思います。

前田 節雄(近畿大・理工)