日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (036)

Q:

超音波振動子などの固体の振動の様子を精度よく計測するにはどうしたらよいでしょうか。

A:

広い周波数帯域で,空間分解能が高くかつダイナミックレンジが広いのは,レーザ・ドップラ方式による振動計測器です。現在数社から製品が出ています。それらは,大きく2種類に分けられ,面外振動計測用(レーザーの光照射面に垂直方向)と面内振動計測用(面に平行な方向)があります。また,光学干渉計を分離し,光ファイバを用いることで,プローブヘッドを小型化したものなど,用途に適した選択をすることが可能です。計測できる周波数帯域は,DC〜20 MHz 程度です。復調された信号により,振動速度波形が,オシロスコープなどで観測でき,大きさと方向が分かります。レーザスポット径は 20 µm が可能です。測定速度範囲 1〜10 µm/s といったところです。また,スキャニング装置を付加することで,2次元の振動分布を高速に計測することもできます。レーザドップラ流速計(LDA)の光学系を流用することで,面内振動計測器が構成できます。かなり以前より,一つのプローブヘッドにより,面内2方向の同時計測までできるものが製品化されています。 流速計と振動計の両方を手がけている会社であればカタログになくとも注文に応じてくれます。ただしメーカの側が,そのような使い方を理解していないこともあります。これらの測定器が便利なのは,被測定物に何等手を加える必要がないことです。多少黒っぽい面でもたいてい測定できます。また,小さなものでも問題ありません。これらの装置のほとんど唯一の欠点は,高価であるということです。

黒澤 実(東京大学)