日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (039)

Q:

昨年の ACTIVE 95 でアクティブ音響制御の実用例が米国から多数報告されていました。日本では実用化例が少ないように思いますが,現状はどうなっているのですか?

A:

アクティブ音響制御の技術は国内でも数年前から先鋭的に研究開発が進められている技術です。しかし,この質問に対して回答できる資料やデータが学会内や公的機関によって調査収集整理された様子がありませんでした。そこで,アクティブ音響制御を用いた製品を製造・販売していると推察される日本国内の企業51社に,下記のアンケート調査を編集委員会会誌部会として行いました。この51社は(社)日本工業技術振興協会の ANC 先端技術研究委員会のメンバが所属している企業と,1991年に開催した「第1回音響振動のアクティブ制御に関する国際会議(ACTIVE 91)」に参加して技術発表を行った参加者リストに載っている企業とを併せたものです。
    設問1.御社では,アクティブ音響制御技術を実用化した製品を販売しておりますか?(過去に販売し,現在販売を中断又は停止している製品も含めます)
    設問2.もし販売しているならば,それはどのような製品ですか
    設問3.その製品の販売開始時期はいつですか?
  回答をいただけた企業は32社(回収率 63 %)です。この中で実用化して製品を納めた実績があると回答した企業は14社で,残り18社が実用化に至っていないとの回答です。その製品は次のように多岐にわたります。
  サイレンサ(7社),サイレンサを含む空調システム(3社),プラントの騒音制御装置(制御目的に応じてチューニング)として(3社),イヤマフラ又はヘッドセット(2社),車室内消音装置(2社)車室内音場制御装置,個室内音場制御装置,列車内座席の隣席音抑制装置,冷蔵庫,コヒーレンス計測システム,TV用スピーカの特性改善装置,及び ANC 用コントローラ(2社)。
  1社で複数種類の製品の実用化を回答してきている場合もありますので,上記のように多種類の実用化例になります。なお,調査対象から省きましたが,構造物の振動制御に関しては幾つもの実用例の回答がありました。能動音響制御技術に関する実用化時期の早いものでは1987年とする回答がありましたが,最近の1994年から1995年にかけて実用化された例が多くありました。これからも実用化例が増加する傾向にあると推察できます。なお,「コストが十分に下がらないので販売を中断した」とする回答や,「技術的に実用化できたが製品化のためには幾つかの問題がある」として,その課題をリストアップしていただいた回答もありました。その主な課題は,「扱い易さ」・「信頼性と耐久性」・「アクチュエータの高性能化」などです。今後,そのような問題を学会の関連分野の研究会や講演会の席上で発表し,会員各位から議論・検討をしていただくことで,より多種類のアクティブ音響制御技術応用製品の実用化が拡がっていくことを期待します。
  最後に,このたびアンケート調査にご協力いただいて,貴重な情報をご提供いただいた各企業に謝意を表します。

丸田芳幸((株)荏原総合研究所)