日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (006)

Q:

超音波診断装置や結石破砕など,音響技術が医療に用いられていますが,これを含めてどのようなものがあるのですか?

A:

音響技術の医療応用は,計測的な応用と,パワー的な応用に大きく分けられます。計測的な応用では,聴診器のように生体内で発生する音響振動のパッシブな計測と,医師が手で叩いて生体の応答を見る打診などのように人為的に発生させた振動,音波を体内に送り,その応答をみるアクティブな計測があります。
  アクティブな手法として近年,大きな進歩を遂げたのは超音波を用いて体内の臓器をリアルタイムに画像化する超音波診断装置です。その代表であるパルスエコー法を用いた電子リニア走査式装置では,圧電素子を配列した超音波送受波器からビーム状超音波を生体中に送出し,体内からの反射信号の振幅に応じた輝度変調(Brightness modulation)を行い,Bモード像とよばれる断層像を得ています。また,ドプラ効果を用いて,体内の血流などの動きの情報を表示する方法も盛んに用いられています。カラードプラ法ではパルス状の超音波を送波し,反射波の周波数変化を求めることで,生体中における血流速などの動きの情報の空間分布を求め,それをBモード画像上にカラー情報として重畳しています。
  このように超音波は診断の分野でさかんに使用されていますが,歴史的には治療応用のほうが早くから行われていました。超音波をエネルギー源として用いるパワー応用としては,強い衝撃波パルスを用いる結石破砕,外科用のメスの刃先を超音波振動させ良好な切れ味を持続させる超音波メス,金属のねじれ振動を利用した白内障の治療器などが実用となっています。また,ある種の薬に超音波を当てると,その薬の活性がさかんとなることを利用し,体内の腫瘍などを選択的に治療しようとする研究,超音波により生体深部を加熱し腫瘍を破壊するハイパーサーミアなどが検討されており,今後ますますの進展が期待されています。

蜂屋 弘之(千葉大)