日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (066)

Q:

学会に論文を投稿するのはちょっと怖い気がします。投稿するときには,特にどんなことに注意すべきなのでしょうか?

A:

「学会誌に論文を投稿することは,恐いような気がする」とのことですが,この気持ちは是非大切にしていただきたいと思います。私は,今までに多くの論文を投稿しましたが、今でも,論文投稿は恐いと感じます。それは,自信を持ってまとめた成果であっても、自分では不十分なところに気がつかないことがあるからです。このように考えていれば,編集委員会から投稿論文に対して意見をいただいても,素直に受け取ることができます。さて,論文を投稿する際には、次の3点が明確になっていることが必要です。(1)読者である会員に、理解できるように分かり易く書いてあるか。(2)自分の論文によって初めて明らかになったことは何か。(3)結論は十分信頼できるものか。以前に調べた結果によりますと,本学会の論文は文章が長いことが示されました。長い文章は,分かりにくい文章の代表です。特に,一つの文章の中に二つ以上の内容を含んだ文は,二つの理解を混乱させます。文を短くする努力がまず必要です。一つの段落には一つの事柄についてだけ書くことも大切です。次に、結果などの説明は詳しく丁寧にする必要があります。例えば「○○の結果を図に示す」とだけ書いている論文がよくあります。しかし,図の解釈を読者に任せると,著者の意図しない意味になることがあります。図や表によって自分が主張したいことは,本文中ではっきりと説明することが大切です。このような観点で原稿が書き終わりましたら,次の二つについて再確認して下さい。まず,その論文で主張したい「新規性」を確認して下さい。新しく得られた成果が,読者に分かるかです。著者が新しい成果であると思っても,明確に記述していなければ,読者には分かりません。次に,その新しい成果が、本当に正しいと他の人に認めてもらえるだけの「信頼性」があるかという点です。信頼できるデータによって具体的、実証的に記述されている必要があります。また、得られた結果に基づいて結論がまとめられているかを検討します。要するに、学会に投稿する論文をまとめるには、以上のような努力が必要です。でき上がった原稿を周囲の人に読んでいただいて、率直な意見を受け入れる習慣がつけば、「恐さ」の質が次第に変わってくると思います。

清水康敬(東工大院)