日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (072)

Q:

音響パワーレベルの測定方法(ISO 3740シリーズ)や機械の放射する音圧レベル測定方法(ISO 11200シリーズ)には,測定に用いる騒音計は少なくとも1年に2回は,騒音計の規格(IEC 60651又はIEC 60804)に適合していることを 検証(verification)しなければならないと規定しています。この“検証”は,騒音計の“検定”と同じ意味なのでしょうか。

A:

騒音計は,計量法に規定する特定計量器の一つであり,測定した値が商取引において有効であるためには,測定に用いた騒音計が検定に合格しており,検定証印の有効期間内であることが必要です。この検定では,器差検定(500Hz〜1.6kHzのレスポンスの偏差)と一部の性能試験のみを行っています。例えば,等価騒音レベルを測定する機能については,計量法でその性能を規定していないので試験されません。一方,国際規格でいうverificationでは,厳密に考えれば,対象とする騒音計の機能のうち,騒音計の規格で規定するすべての性能が正常な状態に維持されているかどうかを検査しなければなりません。例えば等価騒音レベルやピーク音圧レベル測定機能を備えていれば,それらの機能も当然試験されることになります。どのような試験項目が必要であるかについて,国際的に統一することを目的としてOIML(International Organization of Leagal Metrology:国際法定計量機関)が試験結果を記入する書式も含めて文書を発行しています。”検定”も”verification”も,それぞれ,国家標準へのトレーサビリティのある試験機関において,騒音計の性能が維持されているかどうかを定期的に試験することは同じですが,検定が計量法に規定する性能への適合性を判定するものであり,verificationが規格に規定する性能への適合性を判定するものである点が微妙に異なります。計量法の規定と規格の規定を比較すると,規格の規定の方が広範囲にわたっております。従って,検定を受けていることをもって,verificationの代用にはならないものと考えることができます。また,検定は,強制力のある法に従って行われるものであるのに対し,verificationは強制力のない規格への適合性を自己宣言するために任意に行うものであることに注意する必要があります。では,具体的にverificationはどのように行ったらよいのでしょうか。もともとverificationを行うようなシステムは,欧州統合のための手段の一つとして国際規格に反映されたもので,これを実行するための体制は欧州でもまだ十分に整えられている訳ではありません。我が国においても,どのようにしてverificationを行っていくか,これから模索していく状況です。国際整合化によって,近い時期に国際規格を翻訳したJISが続々と発効するはずです。それに合わせて,国内にあってverificationを効率よく実施できる体制が早急に整えられることを願っております。

若林友晴(リオン)