日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (076)

Q:

最近,集合住宅の床材として,非常にやわらかい木質フローリング材が使われることが多いようですが,どのような構造になっているのですか。また,やわらかくしている目的は何ですか?

A:

集合住宅の床材としては,ご存じのように,塩化ビニルタイル,木質フローリング,カーペット,畳などがあります。木質フローリングは,更に直張り系,防振ゴム置床系,発泡プラスチック下地系,根太床系に分けられますが,ご質問の非常にやわらかい木質フローリング材とは,直張り系の床材をさしていると思われます。一時期高級感などから採用されていたカーペットは衛生面などで敬遠され,健康面や自然志向への要求と共に,集合住宅の床材として木質フローリング材が採用されることが確かに多くなってきております。しかし,木質フローリング材を直にコンクリートに貼った場合は,軽量床衝撃音が問題となります。そのため,軽量床衝撃音の遮断性能を改善するために各ボードメーカは研究を重ねたわけですが,その結果がご指摘のやわらかい床材の出現となりました。基本的な構造は,厚さ9mm程度の表面仕上げ合板に薄い緩衝材を裏打ちした構造となっております。緩衝材は,メーカによって異なりますが,ゴム発泡体,ウレタンやポリエチレン系の樹脂発泡体,不織布などが使われており,厚さは2〜5mm程度のものが多いようです。また,この緩衝材だけでは軽量床衝撃音遮断性能がLL-50〜60程度に留まるため,更に遮断性能を向上させることを目的として,図に示すように,表面仕上げ合板そのものに切り込みを入れて,できるだけ変形をカーペットのように衝撃点近傍部分に抑えるように加工しているために,更に床がやわらかくなり過ぎて,見た目には木質フローリングでありながら実際に歩いてみると非常にやわらかいという感じがする床材となっております。これらの床材は,木質フローリング本来のかたさが失われ,歩行感が損なわれたり,見た目と実際の踏み心地が異なることによる違和感が生まれており,また,場合によっては,家具の設置が不安定になるという問題も生じているようです。歩行感からみた感覚評価実験では,人の歩行時の踵部衝撃に対して,衝撃直下点の動的変位量が2mmを超えると不自然に感じるという結果が得られております。現在市販されているLL-40〜45の製品は,変位量が2mmを超えており,今後変位量をできるだけ小さくした上でいかに軽量床衝撃音遮断性能を向上させるかが課題になると考えられます。

渡辺秀夫(戸田建設技術研究所)