日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (081)

Q:

日本音響学会誌では,句読点の読点として「,」が使われています。国語表記としては,「、」を使うべきではないのでしょうか。

A:

ご指摘のとおり,音響学会誌では,「,」を使っています。確かに,最近ワープロの出力をダイレクト印刷したものでは,横書きの場合にも「、」が使われていることが少なくありません。しかし,日本音響学会だけではなく,他の理工系雑誌や,図書など,プロが字組みをしたものでは,読点として「、」ではなく「,」がおしなべて使われているようです。しかし,これだけではお答えになっていないと思いますので,手元の資料を少し調べてみました。「新しい国語の表記ハンドブック(第4版)」(三省堂,1991)に関連の記述が見つかりました。それによると「,」を用いる根拠は二つあるようです。まず,昭和25年12月文部省編「国語の書き表し方」の付録「横書きの場合の書き方」に,『3.くぎり符合の使い方は縦書きの場合と同じである。ただし,横書きの場合は,「、」を用いず「,」を用いる。』とあります。また,これを受けてでしょうか,昭和27年内閣依命通知「公用文作成の要領」の第3節「書き方について」の最後の注の2に,『句読点は横書きでは,「,」及び「。」を用いる』とあります。このハンドブックでは,横書きの場合の句読点について,これ以外の規則や目安は示されていません。上記の決まりから考えますと,国語表記上でも横書きの場合には「,」を使うのが戦後国語改革の方針だったと思われます。横書きの検定教科書は「,」を使っているようですのでご覧になってみて下さい。また,そういえば,私が小学校の時(昭和30年代ですが)の作文の書き方の副読本に,『作文を横書きで書くときは,「、」を用いず「,」を使います』とあったのも,上の決まり故なのでしょう。ご納得いただけたでしょうか。根拠もあるようですし,「,」を使うことに問題はないようです。ただし,投稿の際にお気づかいいただく必要はありません。学会誌の編集作業の中で「,」に統一されますので。

鈴木陽一(東北大・通研)