日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (083)

Q:

携帯オーディオ (MP3など) やインターネット音楽配信にはどのような技術が使われてますか? また,著作権との関係はどうなのでしょうか?

A:

最近,数多くの携帯オーディオプレーヤを見かけるようになりました。携帯オーディオは 可動部分がなく,電池一本で長時間動作し,小型で振動にも強いことが特徴です。しかしそれ以上に,インターネット からほぼ無数の音楽がダウンロードできることも大きな魅力でしょう。アマチュアの録音だけでなく,プロのアーティスト が提供するホームページもあります。音楽専門の検索サイトを訪ねれば,ほぼ無数の楽曲が見つかり ます。
   音楽信号の圧縮技術の主なものは表のとおりです。
  

方式名規格名
MP3 (MPEG/Audio Layer III)ISO/IEC 11172-3
AAC (MPEG/Advanced Audio Coding)ISO/IEC 13818.7
Twin VQISO/IEC 14496.3
AC3ATSC

  中でもMP3は最も普及しています。表にようにISO/IECの国際標準であり,JIS (X 4323) にもなっています。 通称MPEGと呼ばれるマルチメディア符号化標準の一部で,1991年にVideo-CD等の目的のために標準化されま した。DVDの音声にはMPEG以外の音声方式が採用されましたが,年末から始まるディジタルテレビ放送の音声 には,更に性能をアップしたMPEG/AAC方式が採用されます。
   これら最新のオーディオ符号化技術を使うと,音楽はインターネットでも十分配信可能となります。そこで CDや放送の代わりに最初からインターネットで音楽を配信してしまおうというのが,インターネット音楽配信 です。CDを購入するのと同じように代金を払って1曲分のデータを購入する,という方法が一般的です。この ようなサービスにはダウンロードされたファイルを勝手にコピーされないために,音楽ファイルの違法コピー 防止技術が重要です。
   コピー防止には大きく分けて二つの技術を使います。第1の技術は暗号化です。1980年ごろソフトウエアのコピー 防止のために提案された方法で,正当な利用指呼だけが暗号を解読できるシステムです。第2の技術は電子 透かしです。人間の耳には聞き取れない微弱な信号で音楽信号にマーキングし,録音動作を泊めたりコピーの 出所を明示するために用います。
   これらの機器を使ってCDからMP3ファイルを作ったりする場合に,著作権の侵害にならないかが気になります。 著作権法では私的複製が認められており,自分が購入したCDを複製して自分だけが聴くことは問題ありません。 Webで更改したり,複製を友人に渡すことは著作権侵害になります。コピー防止機能を無効化する機器やソフト の販売も規制されています。このように様々なケースがあるので,複製は基本的にすべていけないと思っている 人も見かけます。しかし,普通のお店で購入した機器を使って個人の範囲で行う複製が問題となるという例は, 私の知る限りありません。このような通常の環境で自分自身が使うために行う複製について,著作権侵害にあまた 過敏になる必要はないでしょう。しかしすでに述べたように著作物やその複製を貸与,配布,販売,公開,交換 する場合には十分に注意し,疑問があれば専門家に相談してください。
   (著作権に関しては,富士通株式会社 法務・知的財産権本部 亀井正博氏にご助言をいただきました。)

金子 格(株式会社アスキー)