日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (093)

Q:

最近,騒音計の基準器検査とは別に,音圧レベルについてのトレーサビリティ制度が作られたと聞きました。具体的にはどんなものなのでしょうか。また,諸外国の基準との関係はどのようにして確立するのでしょうか。

A:

音圧レベル標準のトレーサビリティ制度は,計量法の計量標準供給制度に基づくトレーサビリティ制度のひとつであり,今年度中の稼動を目標に準備が進んでいる。このトレーサビリティ制度はJapan Calibration Service System(JCSS)と呼ばれ,経済産業大臣によって指定される国家計量標準(一次標準)は「特定標準器」と呼ばれる。この制度では,一定の校正能力を持った民間の事業者を校正事業者として認定し,この認定事業者が,特定標準器(あるいは,特定副標準器)によって校正された特定二次標準器又は下位の参照標準器を用いて,一般ユーザに対して校正サービスを行うものである。
 音圧レベル標準の特定標準器は,独立行政法人産業技術総合研究所が保管する「標準マイクロホン音圧相互校正装置」であり,財団法人日本品質保証機構(JQA)の所有する同種の校正装置が特定副標準器に指定されている。特定二次標準器は?形あるいは?形標準マイクロホンであり,認定事業者はJQAによって校正された標準マイクロホンを用いて,一般ユーザの計量器を校正する。JCSSにおける校正事業者の認定は,独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が行っており,国際認定基準であるISO/IEC 17025に基づいて審査が行われる。また,NITEは認定機関の国際基準であるISO/IECガイド58に基づいて運営されている。アジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC)における多国間相互承認協約へのJCSSの加盟は1999年に承認されており,JCSSの校正事業者認定制度は国際的に認められている。
 また,国際MRAの基本である国家計量標準の相互承認に関しては,国際度量衡委員会(CIPM)が提唱する計量標準相互承認協定があり,我が国では,産業技術総合研究所と通信総合研究所が加盟している。その目的は各国の国家計量標準機関の間での計量標準の同等性の確立と国家計量機関が発行する校正証明書の相互承認である。そのため,各計量標準研究所は,一連の基幹比較に参加して計量標準の国際的同等性を示すと共に,他機関による品質システムの査察を受けることが求められている。音圧レベル標準の基幹比較は,?形標準マイクロホンの音圧校正の国際比較が1999年3月から2年間に渡って行われ,我が国を含めた8か国が参加した。また,現在,我が国が議長国になっているアジア太平洋計量計画(APMP)の中での音圧レベル標準の基幹比較も計画されている。

藤森 威(産総研)