日本音響学会

音のなんでもコーナー

Q and A (095)

Q:

映画やDVD等ではend rollにDolby Digital, dts, THX, SDDS等,いろいろな音響システムのマークが記載されていますがどんなものですか? また,何が違うのでしょうか?

A:

Dolby Digital, dts, SDDS等はマルチチャネルの音響信号圧縮方式です。一方THXは某映画監督が映画制作時の音質をそのまま劇場でも再現できるように,映画館の設計や設備を含めた劇場全体のシステムの規格を決めたものです。そしてそれぞれ映画館が有する音響システムがどの方式に対応(or適して)いるかで上映時に使用される音響方式が選択されています。
 具体的には各方式ごとに使用チャネル数,信号圧縮特性,圧縮率,信号の提供方法が異なります。例えばDolby社のDolby Digital(統一前はAC-3)は6ch(5.1)オーディオ信号を伝送レート320kbit/sで圧縮符号化しても高いレベルで音質が保てるとしています。SDDS(Sony Dynamic Digital Sound)はSonyが提唱しているDigital音声で最大ディスクリート8ch(7.1)の再生が可能です。dts(Digital Theater Systems)は1.4Mbit/sの伝送レートを採用しており,Dolbyに比べ圧縮率が低いので比較的高音質であるといわれています。また,Dolby DigitalやSDDSはフィルム自体にオーディオ信号が記録されているので例えば各国向けに音声を入れ替えたフィルムを作成する必要がありますが,dtsはディジタル音声をCD-ROMで提供するので,音声のみ変更すればよいという運用上の利点もあるようです。
 一方DVDの場合,Dolby Digitalとdtsは双方ともディスクリート5.1ch再生となり違いはデータ伝送量,つまり圧縮率となります。最近は各種方式に対応したディジタル出力を有するプレーヤとAVアンプ,スピーカが発売されており,家庭でも再生が可能です。ただしDVDソフトはDolby方式のみを使用しているものがまだ多いようです。
 その他,従来のアナログ2ch音声信号をマルチチャネル再生に拡張するための音響方式(例えばDolby Pro Logic II等)もあり,マルチチャンネルのエンターテイメントは益々我々の身近なものとなっているようです。

渡邉祐子(東京電機大・工)